【インディーズCDレビュー】amahisaさん作:『Reconstruct -spica-』

10-13,2015

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今日はCDレビューをします。
amahisaさんという人の、『Reconstruct -spica-』という
音楽アルバムのレビューです。


このアルバムは、ジャンルのことは私はよく分かりませんが、
比較的しっとりとした穏やかで静かな印象の曲群でした。


このアルバムは、少し特殊な形態がとられています。

まず、このアルバムは、
小説『spica』 (著・泉和良・星海社文庫・講談社BOX)という
他者の既存作品をモチーフに、あるいはアプローチしたような内容なっているようです。

『spica』という小説に対する、彼(amahisaさん)の解釈や感想を、
音楽によって表現した作品群、とも言えるかもしれません。
何より、表題にあるように、リコンストラクトとあるので、
彼が音楽によって『spica』を再構築した、と捉えるのがベストでしょう。


こうした、他者の作品を、別の創作手法によってアプローチする、または再現する、
と言う様な創作は、しばしば見受けられるものではありますが、
このアルバムが少し特殊なのは、
更に次の要素が絡んでいるからです。

このアルバムは前述のような形態であると同時に、
既存音楽のアレンジアルバムにもなっています。
その対象になっているのは、前述の小説の著者が、他の創作において作った、音楽作品です。

この二つの要素が重なることで、
このアルバムはやや複雑な様相を纏っているようです。

しかし、慎重にそれらを見れば、
それが、
前述の小説の再構築に、ただ著者の楽曲を使用した、というだけのものではないことが分かります。

詳しく言うと、
個々の楽曲には、
『spica』の場面を想起させるような表題がつけられており、
その場面を再構築するのに、彼は著者の他の楽曲作品をアレンジすることで
それを達成しようとしているのですが、
それは、
その場面に小説の著者が込めたであろう何かを、
彼(amahisaさん)の独自の解釈や推測によって、
一見無縁に思える著者の他の楽曲作品の中に、同様の何かを発見し、
その繋がりの不思議または繋がりの必然性を担保に、
彼はその曲をアレンジすることで、その小説の場面の特殊な再構築を成し遂げているようです。

これは、小説と、著者の他の楽曲作品の両者をより深く認識していないと判別しようもないことですが、
奇しくも私には判別できました。

例えば、遥香という表題の曲には、REI's Medicineのアレンジをもって臨まれていたり、
アパートという曲には、キミロフ殿下という曲のアレンジを採用していたり。
しかも、それぞれは見事に、曲の相性にかかわらず、
その場面に適した雰囲気のアレンジが成されている所に力量を感じ得ます。


このように、以上のような二つの要素が絡んだ作品というのは、
かなり特殊な例ではないかと思います。
この手法が可能になるためには、
モチーフとする既存作品の作者が、その作品とは別の所で、何故か音楽作品を作っている必要があり、
その狭間に何らかの繋がりのようなものが見出される必要があるでしょう。
そんなたいへん素晴らしい創作者!!!!!!は、あんまりいないと思います。


話はそれましたが、
というわけで、そうした複雑な手法を経た特殊性が、
このアルバムの貴重な魅力の1つだと感じました。


さて長々と書きましたが、
しかし、このアルバムの本当の価値は、
もっと手近な、純粋に音楽としての心地よさや雰囲気にあるでしょう。
上記のようなことは全てなくとも、
ただ耳を傾けていて、とても静かな、そしてちょっぴり切ない気持ちになれます。

また、hevnyさんによる魅惑的なジャケット絵はもちろん、
同梱されている、VeNEさんによる小説の著者解説も、
このアルバムの雰囲気をより立体的にさせてくれる大変良いものです。


個人的には、
amahisaさんの楽曲と全体部分、VeNEさんの解説、hevnyさんの絵、またボーナストラックとして追加されたリブンさんの曲、
それらそれぞれにおいて、
アンディーメンテファンが、私のことをどう思っているのか、という部分を、
騒がしさや熱狂を取り除き、静けさの中でのリスペクト、且つ、それを創作という形によって自然と表現されたものが、
口幅ったくはありますが、私が必死に戦っていた頃にあちこちにばらまいた種が、ゆっくり芽生えているのを見たかのような喜びを感じさせてくれて、
私はそれが何より嬉しいので、
ただただ感謝に尽きるところです。


というわけで、聞いてみたいなと思った人は、聞いてみるといいと思います。

amahisaさんのCDを取り扱っているBOOTHショップ
 → https://amahisa.booth.pm/